デジタル画像診断の特技!画質調整で診断能はどう変わったのか。
お医者さんたちはちょっと前はフィルムを飾って見ていたけど、今はどうやって診断しているんだろう?
何か便利になったのかな?
レントゲン写真を見ている人というのは
こんなイメージではなかったですか?
あとは「シャウカステン」という後ろで蛍光灯が灯った道具を使っての観察が思い出される方も多いと思います。
今やこうやってズラッとフィルムを並べることは少なくなりました。
この20年位で画像診断は急速に世代交代しています。
デジタルになると以前のアナログフィルムには無いメリットがたくさんあるんです。
病院ではデジタル画像をどう駆使しているのか紹介します。
・・・さっきの人の持ってるフィルムって逆さまじゃない?
なのに素敵な笑顔だし。
いいの!フリー素材なんだから気にしないの!
実際に画像を示しながら解説します。
CTやMRIばかりが進化しているわけではありません。
一般撮影(レントゲン写真)を日々、駆使する放射線技師のテクニックを見てください。
いってみよ〜
進化し続けるデジタル画像診断の大きなメリット【画質調整によって得られる診断価値の向上】
現代の画像診断の方法
現在、画像は診察室にあるモニターに映し出されます。
医師は自分の見たいように画像の濃度を変えたり拡大したり調整しながら観察をします。
「写真」 というものは時代とともに進化し続けています。
昔は「暗室」と呼ばれる真っ暗な部屋の中で写真が観光しない赤い光だけを照らして現像液を使って絵を浮かび上がらせていました。
世間の時代の流れにより、今やアナログ写真は殆どが「デジカメ」によるデジタル画像データになりました。
レントゲン写真も全く同じです。
そして、あなたも色々な加工をしてSNSにアップロードしたりもすると思いますが、実は医療用画像も診断能を上げるために加工をしています。
その内容について実際の写真を使いながら説明していきます。
画像調整の実際
足関節を撮影した画像を例にします。
足首を怪我して来院した患者さんだね。
撮影したものがコチラです。
骨に異常は無いかな〜?
しかし、足首を痛めているときはもしかしたらアキレス腱を痛めているかもしれません。
この患者さんのアキレス腱の部分は特に疑わしく、整形外科医からもアキレス腱断裂の疑いと伝えられていました。
そこで濃度を変えてみます。
S値というもので白黒を、G値と呼ばれるものでコントラストを変更できます。
白くなって皮下の柔らかいところが見えるね。
強調したりして確認をします。
おぉ〜なんかパリッとしたね。
濃度の反転も出来ます。
結論を言うと、この人のアキレス腱は切れていました。
この後はMRIで精査して手術となります。
画像に関してはもちろん診察室でもある程度の操作は出来ます。
それに加えて診療放射線技師がどう撮影したかを明確にするために画像を使って医師にメッセージを送って診断に役立ててもらいます。
もちろん医師の支持を無視するわけにはいきません。
被ばくは最小限に抑えた上で、痛いところを出来るだけ撮影してあげる。
写っている情報を間違いなく届ける。
そもそも診断ができるように映し出す。
それが求められる診療放射線技師だと僕は思います。
診療放射線技師の仕事に求められることについてはコチラの記事をご覧ください。
他にもたくさんのメリット
写真が出来上がるまでの時間と被ばく線量の減少
そもそもデジタル画像はそもそもアナログ写真よりもX線の検出がしやすいため、少ないX線での撮影が可能です。
デジタル画像特有のザラつきと呼ばれるものもかなり改善されているといえます。
そして現像する時間が無くなったのでもちろん時間短縮になりました。
また、デジタル画像になる前は電圧と電流をコントロールしたりして、体型や診断目的によってある程度の画質の調整を行っていました。
しかし、その調整は難しく再撮が多かったのも確かです。
僕を含めたデジタルしか扱ったことのない技師は、撮影条件のコントロールに関して大先輩方の足元にも及びません。
放射線科って体育会系だよね・・・先輩ちーっス
写真の確認なども含めるとかなり時間は短縮されました。
そして、被ばく線量が減ったことも事実としてあると思います。
拡大率を調整できる
冒頭のシャウカステンの写真でもわかりますが、CTやMRIは一コマがとても小さかったです。
それを拡大してしっかり観察することが出来るようになりました。
そして、拡大ももちろん大事ですが「1:1」で見ることも重要です。
特に整形外科では手術前に機械の大きさ、太さ、角度などをあらかじめ決めます。
そのために「テンプレート」と呼ばれるものを写真と比較して予測をたてます。
せっかく比べているのに画像の大きさが合っていなければ当てになりません。
撮影時の拡大やモニターの解像度を調整して「1:1」にすることで、術中の計画やスムースな機械出しを実現できます。
オペ看さんに頼られる技師になろう!
画像の転送、CDを作ることで手間の削減
画像を院内ネットワークでやりとりするシステムを「PACS(ぱっくす)」と言います。
Picture Archiving and Communication Systemsの略です。
要するに院内で出来た画像データを1つのサーバーで管理して、各電子カルテなどの端末からネットワークを通して画像を見るシステムです。
この「PACS」をが整備される前は当然写真の持ち運びは職員がやっていました。
診察室で先生が依頼を出すときは、依頼箋とカルテを看護師さんが放射線科へ持ってくる。
放射線科で写真が出来上がったらカルテと一緒に診察室へ持っていく。
仕事中にこの往復を何度も何度もしなければならなかったのは大変な手間でした。
人がいないよ〜写真間違えそうだよ〜診察室から催促来る〜
それが今は
患者受付→診察→検査依頼→結果出し→会計
すべてがネットワーク管理です。
導入は大変な初期投資が必要ですが本当に便利です。
更に、撮影した画像を一式持って行くのも大きいし重いし大変です。
でも他院へ紹介となった場合にCD1枚を持っていくのはそれほど苦じゃないですよね。
紹介先の先生もそのCD1枚を端末に入れれば診断ができます。
院内のサーバーに取り込めば半永久的にそこで見る事ができ、またそこで画像調整をして見る事ができます。
空いた時間を有効に活用して質の高い医療が提供できるね
まとめ
どんどん便利になっていくと実感しています。
もしかしたら僕は革命的な変化をもろに体験している 世代なのかもしれません。
残念ながらアナログフィルムの時代はわかりませんし、撮影条件などの知識は大先輩方には到底およびません。
そうやって時代が変わっていきます。
画像の処理やネットワークを通じたやり取りは今後どんどん進化していくと思われます。
近い将来はクラウドを使って施設同士のやりとりがもっと簡潔になると思います。
セキュリティなどの問題が解決されて患者さんのために提供できるものが増えていくのが楽しみです。
画像診断は患者さんを見るための「目」だもんね。大事!