本当に肩こり?その肩の痛みが肩甲骨はがしで治らない理由
肩がこるな〜。ぐるぐる回して肩甲骨はがしをするといいって聞いたけど、治るどころかひどくなってる気がするよ。
たねきちにも肩こりがあるの・・・?
それはともかく!
その肩の痛みは本当にただの肩こりでしょうか?
肩の痛みの原因は肩こりだけではありません。
適切な治療をしなければ余計にひどくなってしまいます。
むやみに腕をぐるぐる回して肩甲骨はがしなどをしていませんか?
何件も肩のMRIを撮ってきた経験から肩の痛みの原因を紹介します。
肩の痛みを我慢してひどくなってしまった人を何人も見ました。
そうならないヒントにしてください。
最悪の場合、腕の動きが悪くなって手術が必要になるかも!?
いってみよ〜
肩こりとは?肩こりによる肩の痛みが肩甲骨はがしで治らない理由
まず肩こりかどうかを確かめましょう
・・・。そもそも肩こりって何?
「肩こり」は病名ではありません。
首筋から肩にかけての筋肉「僧帽筋」などが緊張して固くなっていることを肩こりといいます。
もちろん同じ姿勢でいたり、なで肩、ストレスや冷房などが原因でなりやすい人はいます。
ですが、根本的な治療はありません。
なぜなら病気ではないので。
CTを撮ってもMRIを撮っても原因がないと肩こりとなるでしょう。
病院では何の病気かきちんと確かめることを
「鑑別」や「スクリーニング」って言います。
肩の本当の痛みの原因が画像診断で鑑別できます。
MRIなどを撮影して原因が無いことをはっきり確かめてから
肩甲骨はがしや姿勢の矯正などで肩こりの解消を考えましょう。
肩関節周囲炎の可能性
肩関節周囲炎は四十肩や五十肩と言われるものです。
ですが、四十肩・五十肩も病名ではありません。
それくらいになったらみんな肩が痛くなるので俗称としてこう呼ばれます。
パッと見では分かりませんが炎症部分が強調されて見える「脂肪抑制画像」だと
全体にぼんやり光って見えると思います。
正常な人と比べるとわかりやすいでしょうか?
肩はあらゆる方向に曲がる関節で、上腕の骨が球のようになっていて肩甲骨にはまっているので「球関節」と呼ばれます。
この球関節を構成するためにたくさんの筋肉や靭帯に支えられ、それを包むように膜に覆われています。
びっくり関節ってことだね!
この膜は年齢を重ねると炎症を起こし、
厚くなって回復し、
硬くなる。
ということが起きます。
炎症が起きているときはもちろん痛いし、
硬くなると動きが悪くなります。
腱板損傷・腱板断裂の可能性
肩周りの靭帯はまとまって板のように見えるため「腱板(けんばん)」と呼ばれます。
この腱板は鎖骨と肩甲骨の間(肩鎖関節)と肩関節の間にあります。
肩関節周囲炎は炎症だけでしたが、腱板損傷は靭帯に傷がついている状態です。
MRI画像でも繋がっていなければいけない靭帯が離れているのがよくわかります。
そして、傷がついた状態でぐるぐるまわすと・・・?
断裂・・・っ。
腱板断裂までいってしまうと腱が完全に離れ、筋肉が緩んでしまいます。
そもそもなぜ腱板損傷や断裂が起きてしまうかというと、肩鎖関節の変形なども関わりが深いです。
動かすたびに靭帯が肩鎖関節と腕の骨に挟まれ、擦り切れてしまうのです。
正常な人の筋肉はしっかり黒く描出されているのに対し、腱板断裂を起こしてしまった肩は筋肉が萎縮し隙間が多いです。
もちろん痛みだけでなく動きにも制限が出てしまいます。
初めにやるべきことは病院での相談
肩関節周囲炎、腱板損傷・断裂についてお話をしましたが
肩関節はたくさんの骨・筋肉・血管・神経があります。
画像診断なくして鑑別は困難です。
確かに肩甲骨はがしもリハビリの一つの方法ですが
むやみにぐるぐる回して治そうとすると、返って痛めてより炎症が広がってしまう恐れがあります。
リハビリの先生のアドバイスを聞きながらの運動をおすすめします。
そして、残念ながら腱板断裂してしまった場合
普段の生活も考えて他の筋肉で動き補うリハビリをで様子を見る場合も多いですが、治療法としては手術になります。
そうなる前にまず整形外科に相談してください。
画像をあげたようにMRIは肩関節が得意分野です。
診療放射線技師としてお待ちしております。
MRIは時間かかるんだから、痛くないように短い時間でキレイに撮ってあげてね。
がんばりますっ。