病変部位を目指せ!血管の3D迷路をクリアする方法【IVR】
ステントやコイルなどの血管の中を治療するときはどうするの?
放射線科はどういう関わりをしているの?
血管を処置するときには手術で大きく傷をつけるよりも、カテーテルを使って中から治すほうが危険が少なく、治りも早くなります。
しかし、血管は体中を迷路のように巡っています。
何も見ずに治療するのは難しそうだね。
それを解決するのが「IVR」という方法です🤔
血管内の迷路を3D画像にすることでIVRを紹介します。
あなたの体の中にも大動脈から伸びていく血管の迷路があります。
どうなっているか見てみましょう。
いってみよ〜
病変部位を目指せ!血管の3D迷路をクリアする方法【IVR】
IVRとは
「interventional radiology」の略です。
日本語に訳すと「画像下治療」や「放射線の治療への応用」となります。
IVRというと院外ではあまり聞き馴染みのない単語ですが、放射線科では当たり前のように行っています。
血管や胆管などをステントで拡張する
総胆管に詰まった胆石をとる
心臓の治療をする
動脈瘤が破裂しないようにコイルを埋める
止血のために血管を塞ぐ
膿瘍やうっ滞した胆汁などを針を指して抜く
これらの治療法は放射線を使って観察しながら、なるべく体に負担がかからないようにできる治療です✨
血管の迷路を探検
それでは血管の中を実際に探検してみます。
れっつごー!
こちらは腹部から太ももまでの血管をCTで撮影したものです。
根っこのように枝が伸びています。
少し見せ方を変えてみます。
これはMIPという画像の見せ方です。
いっぱい白いのが写ってるね?
白く写っているのは動脈硬化を起こしている部分です。
この患者さんは少し動脈硬化が多いですね。
今からこの血管の中をカテーテルの目線になって探検してみます。
大動脈を通して治療を行う場合は、太ももの動脈にストローのような管を通してそこにカテーテルを入れます。
左の脚から入ってみました。
いつもは血液が流れている血管の中です。
あまり変わらない景色が続いています。
白いのが見えてきたよ。
石灰化を白く表現しています。
ここには小さな石灰化が見えます。
更に骨盤に近づいていきます。
このあたりから骨盤です。
大動脈から分岐して外腸骨動脈と内腸骨動脈に分岐するまでを総腸骨動脈といいます。
大動脈から分岐してすぐのところです。
分岐部は石灰化を作りやすく、動脈瘤も出来やすいです。
大動脈に入りました。
体の外から見るとおヘソのあたりかな。
あちこちに動脈硬化があります。
振り向いてさっき来た道を見てみます。
ここからさきほどの左総腸骨動脈へ繋がっていきます。
右側を見ると・・・?
反対側には右脚へ通じる右総腸骨動脈があります。
改めて大動脈を頭側へ進んでいきます。
少し上に進むと穴を発見しました。
この穴の中に入ってみましょう。
穴に入ったら造影剤を使ってみます。
黒い道筋が出てきたよ!
お腹の中にのびる血管の様子がわかります。
この血管は大腸の下の方(下行結腸、S状結腸など)に血液を届ける下腸間膜動脈です。
腹部の血管の構造はほとんどの人が同じ構造をしています。
しかし、中には血管の向きが変わっている、本数が変わっているなどの少数派の人たちもいます。
稀ですが、内臓が全部逆になっている人もいます。
CTなどの検査を予め行って、個人差を把握しておくことも大事です。
昔の漫画でも内臓の位置が逆で主人公の技が聞かない人がいたような?
もっと上に進んでみます。
よ〜く見ると
また穴があいていました。
造影剤を使ってみます。
ここは大腸の前半部分や小腸に血液を届ける上腸間膜動脈です。
もうちょっと上に行ったところにもう一つ。
穴が空いていますね。
同じように造影剤を流しましょう。
ここは肝臓・脾臓・胃の一部などに血液を届ける腹腔動脈です。
このようにしてカテーテルを目的の部位に通していきます。
造影剤によって狭くなっているところや動脈瘤なども形がわかりますので、迷路を辿って目的の部位までカテーテルを届けます。
目的の部位に到達したら処置をしっかりと行います。
見えてないのに迷路を進むのも難しいね・・・。
カテーテルを入れての処置はもちろん医師でなければ出来ません。
迷路を造影剤を使って手探りで進み、ステントや止血などの処置をする医師
直接介助をしてサポートをする看護師
間接的に透視を出したり、写真を撮影する診療放射線技師
それぞれの役割を分担して患者さんの処置を行います。
多職種が絡む処置はまさにチーム医療と言えますね😄
まとめ
読んでいただきありがとうございました✨
IVRは透視で造影剤によって映し出される道筋を確認したり、治療の様子を観察しながら処置を行うことです。
血管の中をたどるのは簡単なことではありません。
中を見ながら進んでも脇道がどこにあるのか見つけるのは、体の構造がわかっていなければ出来ないことです。
医師、看護師、診療放射線技師が力を合わせて治療にあたる故に患者さんは負担の少ない検査を行うことが出来ますね。
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体の中は血管とか消化管とか迷路だらけだね。
迷子にならないようにしなきゃ!