ご遺体の撮影【Ai(オートプシーイメージングとは)】
CTやMRIでご遺体を撮影する事があるって聞いたけどどういうこと?
Ai(オートプシーイメージング)ってどういう意味?
Aiと言うと思い浮かぶのは人工知能(Artificial Intelligence)かもしれません。
放射線科の分野でも人工知能の開発は進んでおり、主に病気を発見する役割として注目されています。
ですが、今回のテーマは同じ略称で呼ばれる「Autopsy imaging」について。
この記事を呼んでAiについて知るキッカケをつくり、少し掘り下げましょう
病院内での取扱についてもお話しします。
色々な考え方があるのも現実としてありますが、まずはあなたも「知る」ことから。
僕も実際の現場での経験があります。
診療放射線科内ではよく話題にあがる事柄です。
わかりやすくお伝え出来るようにします。
いってみよ〜
CTやMRIでご遺体を撮影する事があるって聞いたけどどういうこと?Ai(オートプシーイメージング)ってどういう意味?
Ai(オートプシーイメージング)とは
なんか難しそうだね。わかるように説明してね?
がんばります・・・。
簡単に言えば「遺体の死因をCT、MRIなどの画像診断で精査する」ということです。
「autopsy」は「検死」と同じ意味です
Aiを行う理由は大きく3つ
- 解剖が行えない場合の代わり
- 剖検の前段階としての検査
- 遺体を損壊せずに検査が可能
映画された小説の中でも、クライマックスに遺体をMRIで撮影して死因を特定するというストーリーがありました。
日本における「検死」
日本での問題点は剖検が海外と比較しても圧倒的に少ないところにあります。
そこで登場するのがAiです。
検死とか剖検とか解剖とか違いがわかんないんだけど?
難しいからわかりやすくまとめて!
手書き・・だと・・・?
検死とは
「検視・検案・剖検の3つを合わせたもの」
検視・・・亡くなった状況などをみて事件性を調べる
検案・・・死体検案書を作成する
剖検・・・解剖して死因を調べる
死体検案書
「死亡診断書と対をなすもの。診療と関係のないところでなくなった場合に医師が作成する」
解剖
「死体を切り開いて観察すること。司法解剖と行政解剖がある。」
司法解剖
「検視や検案で犯罪の可能性がある場合に行われる解剖」
行政解剖(承諾解剖)
「検案で異状死と診断された場合に行われる」
異状死
「検案で死因がわからなかったもの」
検死についての問題点とAiのメリット
わかりにくい。
そうです。それが問題点の1つです。
決して手書きのせいではありません。
問題点は
- 制度がわかりにくい
- 監察医が少ない
- 家族の承諾が得にくい
制度が複雑なのはAiではどうにもなりませんね・・・。
監察医の少なさは海外と比較されてよく言われることの1つです。
もしかしたら監察医が多ければいいというものでは無いのかもしれませんが・・・。
そして、そもそも日本にテレビドラマのような監察医はいない。らしいです。
制度の影響もありますが、家族の承諾がなければ異状死とされたまま解剖がされずに葬儀が行われます。
遺体が火葬されてしまえば手に入るはずだった事実も一緒に葬られてしまうかもしれません。
実は海外では必要になった場合に埋葬してある遺体を剖検することもあるのです。
Aiはそれが解決出来るの?
Aiはこれらのメリットで対応できる可能性があります。
- 短時間
- 遺体を傷つけない
- 画像データを半永久的に残す事ができる
また、実は剖検前に撮影をしておくことで解剖ではわからないことも分かる場合があります。
例えば気胸などの所見は開いてしまえば見逃すことがあると思います。
骨折なども全身を撮影してしまえば実際に見るよりはるかに短時間でチェックすることが出来ます。
実際にご遺体を撮影するということ
では病院に行って自分が検査を受けた装置でご遺体の検査が行われていたらどうでしょう?
あまり気分のいいものでも無い・・・かな。
- 倫理上の問題
- 感染などの衛生的な問題
- 出来上がった画像データを誰が診断してどう提出するのかなどの制度の問題
- 費用をどこが負担するかといった金銭的な問題
様々なことがまだ改善の余地があります。
日本ではそういう制度の構築や改変に腰が重いですね。
早く改善しなきゃ、犯罪を見落としちゃうかもよ?
犯罪を見落とすな
日本は犯罪率が低い、そして検挙率が高い
しかし、もし犯罪性がないと判断されている異状死が大量に出てきたらどうでしょう?
それらの確率のどこに信憑性があるのでしょうか。
子供の異状死
親が
「死んでしまってからも子供の体を傷つけるのはかわいそうだから。」
そう言って承諾しなければ解剖は行われません。
そこにもし虐待が隠れていたら?
実際にAiによって死因や骨折の痕が見つかる事があると聞きます。
体の中の最後の悲しい声を画像診断で取り出すことが出来るのです。
まとめ
まだまだ問題点のたくさんあるAiですが、有用なのは間違いありません。
世間への認知や制度の見直しなどがスムースに行われれば
犯罪を発見すること、そして抑止することにも繋がります。
日本は他国よりも画像診断が長けています。
世界に自慢できるようなシステムを作成することが、国の内外から求められていると僕は思います。
がんばれ、日本。
そしてみんなの理解も必要だね。